再生可能エネルギー発電の課題である電池について、特に電解液に着目をして研究しています。
リチウムイオン電池は、高寿命、高エネルギー密度の電池ですが、有機電解液を使うため高温で発火する可能性があります。そこで電解液に発火の心配のない水溶液を使った電池について、高濃度で高電圧化が可能である理由を研究しました。また、リチウムイオン電池よりも大容量で注目されているフッ化物シャトル電池について、電解液を調べるためのフッ化物イオンセンサーを作り濃度の定量的な測定を可能にするとともに、フッ化物のより溶けやすい電解液について調べました。さらに、燃料電池等で利用される酸素極について、触媒性能をより把握できる電流電位曲線解析法を開発しました。
環境問題の中でも、エネルギーは特に大きな問題であるという意識がありました。人類にとって電気、エネルギーは生活から切り離せません。再生可能エネルギーはまだ使いづらく、いまのところは火力発電と原子力に依存しています。
天候の影響を受ける再生可能エネルギー発電は、電気の需給のバランスをとることが難しく、大型蓄電池を用いたシステムの構築が不可欠だと言われています。またEV車における蓄電池の必要性も指摘されています。安全かつエネルギー密度を稼げる電池をつくりたいという思いで、電気化学的な観点から、興味をもって研究を進められると同時に、貢献できると考えました。また今後は、CO<sub>2</sub>の問題にも取り組んでいきたいです。
太陽光、風力といった再生可能エネルギーでまかなえる世界になるとよいと考えています。
CO<sub>2</sub>も問題視されていますが、環境に対してやさしくエネルギーを使い続けられる方法が必要です。今は社会実装には遠く、基礎的な研究をしていますが、循環社会に向けた一端を担えたら嬉しく思います。
また、サイエンスとしても面白いと感じています。電池の系はとても複雑ですが、その一部分だけでも綺麗な系として説明できることに興味を持って研究を進めています。
今後は、電気化学的な観点でCO<sub>2</sub>の還元にも取り組みたいと考えています。CO<sub>2</sub>の還元の二大テーマである選択率と反応活性について、電解液のアプローチで濃度やpHに着目して研究を進めていきたいです。特に電極の表面に関心を持っており、実際に反応が起こる電極表面の状態を測定することで、表面pHと反応の選択率や活性の関係も調べていきたいです。