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バイオインフォマティクスによるDNA解析で、環境問題としての薬剤耐性菌に挑む!

RESEARCHER
右:抗生物質のメロペネム。カルバペネマーゼ産生菌が耐性になる。 左:培地のもととなる粉。これに抗生物質を入れることで、薬剤耐性菌を単離するための培地が作成できる

右:抗生物質のメロペネム。カルバペネマーゼ産生菌が耐性になる。 左:培地のもととなる粉。これに抗生物質を入れることで、薬剤耐性菌を単離するための培地が作成できる

研究の様子。 ①河川や下水処理場からサンプルを採取し、②メンブレンフィルター法によって、③サンプル中の細菌を膜に捕捉し、④抗生物質を含んだ培地で培養する。 培養されてできたコロニーは薬剤耐性菌であり、これらを対象としてDNA解析を行う。 写真は①下水処理水をサンプリング。

研究の様子。 ①河川や下水処理場からサンプルを採取し、②メンブレンフィルター法によって、③サンプル中の細菌を膜に捕捉し、④抗生物質を含んだ培地で培養する。 培養されてできたコロニーは薬剤耐性菌であり、これらを対象としてDNA解析を行う。 写真は①下水処理水をサンプリング。

②メンブレンフィルター法による濾過。

②メンブレンフィルター法による濾過。

③ メンブレンフィルター法によって、濾過したメンブレンの様子。サンプル中の細菌を膜に捕捉する。

③ メンブレンフィルター法によって、濾過したメンブレンの様子。サンプル中の細菌を膜に捕捉する。

④サンプル中の細菌を膜に捕捉し、培地に貼り付けて24時間培養したもの。青いコロニーが薬剤耐性大腸菌。

④サンプル中の細菌を膜に捕捉し、培地に貼り付けて24時間培養したもの。青いコロニーが薬剤耐性大腸菌。

ESBL産生菌の系統樹。 下水中のESBL産生大腸菌を単離し、このESBL産生大腸菌のコロニーについてDNAの系統解析を行い、薬剤耐性菌同士の関係性を示した。 その結果、世界中でパンデミックを引き起こしている系統の大腸菌が多量に下水中に存在することがわかった (図中のST131の大腸菌)。下水はその地域に住んでいる人々の腸内環境を反映するため、その地域の人々は腸管内にこれらの危険な薬剤耐性大腸菌を保有することが示唆された。

ESBL産生菌の系統樹。 下水中のESBL産生大腸菌を単離し、このESBL産生大腸菌のコロニーについてDNAの系統解析を行い、薬剤耐性菌同士の関係性を示した。 その結果、世界中でパンデミックを引き起こしている系統の大腸菌が多量に下水中に存在することがわかった (図中のST131の大腸菌)。下水はその地域に住んでいる人々の腸内環境を反映するため、その地域の人々は腸管内にこれらの危険な薬剤耐性大腸菌を保有することが示唆された。

琵琶湖中12ヶ所 (L1〜L12)やその周辺の河川の8つの地点 (R1〜R8)で薬剤耐性菌を調べた結果、新規、または珍しい薬剤耐性遺伝子 (例えば1998年にポルトガルで検出された一例しかない薬剤耐性遺伝子)を保有する薬剤耐性菌が検出された。

琵琶湖中12ヶ所 (L1〜L12)やその周辺の河川の8つの地点 (R1〜R8)で薬剤耐性菌を調べた結果、新規、または珍しい薬剤耐性遺伝子 (例えば1998年にポルトガルで検出された一例しかない薬剤耐性遺伝子)を保有する薬剤耐性菌が検出された。

琵琶湖中の河川のサンプルから新しく発見した薬剤耐性遺伝子のDNA配列の一部。 これの遺伝子を保有する細菌は、“最後の砦”と呼ばれている強い抗生物質であるカルバペネムが効かない菌であった。環境水中の細菌が、これらの薬剤耐性遺伝子のリザーバーとなっていることが示唆されたといえる。

琵琶湖中の河川のサンプルから新しく発見した薬剤耐性遺伝子のDNA配列の一部。 これの遺伝子を保有する細菌は、“最後の砦”と呼ばれている強い抗生物質であるカルバペネムが効かない菌であった。環境水中の細菌が、これらの薬剤耐性遺伝子のリザーバーとなっていることが示唆されたといえる。

抗生物質を不適切に摂取すると、腸内で薬剤が効かない耐性菌が増える。この薬剤耐性菌は、尿路感染症をはじめ様々な感染症の原因となっており、2050年には、年間1000万人が薬剤耐性菌が原因で死亡すると予測されている。 薬剤耐性菌問題には、抗生物質を使う人、家畜やペット、そして湖水、河川水、下水などの環境水中の薬剤耐性菌を総合的に考慮した、”ワンヘルスアプローチ”による様々な分野からの取り組みが必要である。

抗生物質を不適切に摂取すると、腸内で薬剤が効かない耐性菌が増える。この薬剤耐性菌は、尿路感染症をはじめ様々な感染症の原因となっており、2050年には、年間1000万人が薬剤耐性菌が原因で死亡すると予測されている。 薬剤耐性菌問題には、抗生物質を使う人、家畜やペット、そして湖水、河川水、下水などの環境水中の薬剤耐性菌を総合的に考慮した、”ワンヘルスアプローチ”による様々な分野からの取り組みが必要である。

右:抗生物質のメロペネム。カルバペネマーゼ産生菌が耐性になる。 左:培地のもととなる粉。これに抗生物質を入れることで、薬剤耐性菌を単離するための培地が作成できる

右:抗生物質のメロペネム。カルバペネマーゼ産生菌が耐性になる。 左:培地のもととなる粉。これに抗生物質を入れることで、薬剤耐性菌を単離するための培地が作成できる

研究の様子。 ①河川や下水処理場からサンプルを採取し、②メンブレンフィルター法によって、③サンプル中の細菌を膜に捕捉し、④抗生物質を含んだ培地で培養する。 培養されてできたコロニーは薬剤耐性菌であり、これらを対象としてDNA解析を行う。 写真は①下水処理水をサンプリング。

研究の様子。 ①河川や下水処理場からサンプルを採取し、②メンブレンフィルター法によって、③サンプル中の細菌を膜に捕捉し、④抗生物質を含んだ培地で培養する。 培養されてできたコロニーは薬剤耐性菌であり、これらを対象としてDNA解析を行う。 写真は①下水処理水をサンプリング。

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どんなタネ?

様々な感染症の原因となる薬剤耐性菌 (薬が効かない細菌)について、環境水を調べ、バイオインフォマティクスの手法を使って研究をしています。これまでの研究で、環境水中には薬剤耐性菌が存在するということはわかってきましたが、それら薬剤耐性菌には病原性があるのか、患者さんの病原菌と似ているかなどは、よくわかっていません。これを明らかにするために、DNA解析を取り入れた研究を行っています。

研究により、例えば世界中でパンデミックを引き起こしている薬剤耐性大腸菌が、下水中に存在することがわかりました。また、琵琶湖やその周辺の河川で薬剤耐性菌を調べた結果、新規、または珍しい薬剤耐性遺伝子を持っている菌がいることもわかりました。

なぜ研究を始めた?

もともと地球環境問題に関心があり、当初は地球温暖化に関する研究を行いたいと考えていましたが、4回生で研究室に所属し、環境水と公衆衛生微生物学の研究に興味を持ちました。環境水中の大腸菌について調べるうちにどんどん面白くなり、さらに異なった視点から研究を行うためにバイオインフォマティクスの手法を取り入れられないかと考えました。バイオインフォマティクスにより、例えば環境水中の薬剤耐性菌株と臨床分離株がどの程度似ているかが、遺伝子レベルでわかります。

2050年には、薬剤耐性菌が原因で世界中で年間1000万人が死亡すると予測されており、世界中の研究者がこの問題に取り組んでいます。主に医学分野で取り組まれてきたこの問題に、様々な手法を組み合わせ、環境水という視点から取り組みたいと考えています。

なにを変える?

サイエンスとして面白さを感じています。新しい薬剤耐性遺伝子を発見し、新しい菌種や細菌を見つけ、突き詰めていきたいです。

また現在、環境水中の薬剤耐性菌はほぼ放置されている状態といえます。環境水には、大腸菌数という基準値がありますが、薬剤耐性菌に関する基準値はありません。将来的には、より定量的にその影響を考慮した、根拠のある薬剤耐性菌の基準値の提案ができるのではないかと考えています。

規制ばかりの方向に行き過ぎるのはよくありませんが、現在、薬剤耐性菌による感染症が問題になる中で、環境水中の薬剤耐性菌についても議論するきっかけをつくれたらと思います。

なにが必要?

全自動でゲノム配列を即座に解析できる装置があったらよいと考えています。現在のゲノム解析にはお金も時間もかかり、例えば薬剤耐性菌1株のゲノム配列を完璧に決定しようとすれば5万円ほど、また丸1日以上必要です。技術発展があれば研究環境の改善につながります。

また現在、共同研究者の先生方と分野を超えた研究を進めていますが、引き続き、医学分野と連携をしていきたいと考えています。

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低磁場fMRIを実現し、脳の神経活動を直接測りたい。

上田 博之
工学研究科 電気工学専攻