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放射光イメージングで、金属材料のありのままの凝固プロセスを理解したい!

RESEARCHER
金属材料を溶かして固める鋳造プロセスでは、成分濃度の不均一や割れなどの材料欠陥が形成され、金属材料の生産性や特性の限界を決めている場合が少なくない。しかし高温環境では様々な物理現象が複合的・競合的に進行し、固まった後の組織から想定される物理現象の組み合わせが複数あることは少なくないため、実際に何が起きているかよく分かっていない。実際の鋳造プロセスで起こっている高温現象を科学的に一つ一つ紐解いて、工学的な課題である材料欠陥の制御に貢献したい。

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アルミニウムと銅を混ぜ合わせた合金(ジェラルミン)が凝固する様子を高速で撮影した。 温度の低い領域で成長した結晶が浮上・沈殿して温度の高い領域に降り積もり、まるで温度が高い領域から凝固するように見える現象が捉えられた。  鳴海 大翔, 河原﨑 琢也, 加藤 勇一, 森下 浩平, 安田 秀幸, 時間分解X線トモグラフィを用いたTiB2添加により等軸晶化したAl-Cu合金の凝固過程の定量解析,  軽金属, 2020, 70 巻, 8 号, p. 339-346

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凝固している過程の金属材料は、固液共存体(固体と液体の混合体)であり、その変形挙動の観察手法と解析・評価技術の構築を進めている。  固液共存体を圧縮すると、固体粒子が移動・回転して配置を変えて変形が進む様子が捉えられた。一部では、固体粒子間の距離が拡大した領域が見られており、局所的に膨張していることが分かる。これは、ダイラタンシーと呼ばれる現象であり、金属材料の固液共存体では水-砂利やマグマと同様の物理現象が起きることが実証された。

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放射光イメージングは、SPring-8(大型放射光研究施設)にて行っている。SPring-8では金属材料内部の観察に適した明るい単色X線(10-40 keV)が得られる。

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様々な金属材料の凝固プロセスの放射光イメージングを行い、実用材料の凝固組織形成や欠陥形成のメカニズムの解明を目指している。 データは、鉄鋼材料のマッシブ的変態によるテクスチャ形成。鉄鋼材料は凝固過程に体心立方構造(BCC)から面心立方構造(FCC)に変化(相変態)する。その過程で形成されたFCCの組織に特定の結晶方位関係(双晶関係)を見出した。

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様々な金属材料の凝固プロセスの放射光イメージングを行い、実用材料の凝固組織形成や欠陥形成のメカニズムの解明を目指している。 グラフは、鋼の高温物性測定。融液からBCC、あるいはBCCからFCCに相変態すると、結晶の密度の違いから鉄鋼材料が収縮して変形する。変形すると亀裂や寸法にゆがみが形成する。鉄鋼材料の変形を予測するにはどの程度収縮するか具体的な数値を知る必要がある。実際に高温での体積収縮率を測定している。

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どんなタネ?

金属の融点に近い高温環境の材料内部で起きている物理現象を一つ一つ科学的に紐解く研究を行っています。

放射光の特長を活かした三次元・時間分解イメージング技術を駆使して、結晶・組織が産まれる動的な過程を観察し、事実に基づいて(実証的に)理解したいです。例えば、アルミニウムと銅を混ぜ合わせた合金(ジュラルミン)が凝固する様子を高速で観察すると、直感的には温度の低い領域から凝固するはずですが、温度の低い領域で成長した結晶が浮上・沈殿して温度の高い領域に降り積もり、まるで温度が高い領域から凝固するように見える現象を捉えられました。また、材料欠陥が形成する原因の一つである固液共存体(固体と液体の混合体)の変形過程を動的に観察する手法も考案し、科学的また工学的に役立つ知見も得られるようになっています。

なぜ研究を始めた?

学生の頃、配属先の研究室を決める際に各研究室が行っていたデモ実験の中で、半導体デバイスや太陽電池に使われるシリコンを凝固させる実験がありました。結晶が成長し始めた瞬間にピカッと光り、また固める際の条件で結晶の形が変わる様子を目の当たりにして「こんな面白い研究があるのか」と思い、凝固や結晶成長に関心をもちました。研究を続ける中で、現代社会の基盤材料として身の回りに当然のように在る金属材料の鋳造プロセスの工学的な課題(生産性や品質)が凝固・結晶成長における学術的な課題とリンクしていることに気がつき、今の研究を開始しました。

なにを変える?

金属材料の鋳造プロセスのような高温環境で起きる現象はトライアル&エラーによる経験則や合理的な推測に基づいて整理されていますが、実際に何が起きているのかはよく分からないため、いわゆるブラックボックスであると言えます。放射光イメージングにより直接観察した実験事実が列挙できれば、経験則や推測では打破できなかった工学的な課題の解決につながる可能性があります。また、近年は計算機の能力の発展で鋳造プロセスの数値シミュレーションが可能となり、実装業でも活用されています。直接観察による実験事実は数値シミュレーションを検証できるベンチマークデータにもなります。実験事実に裏付けされた数値シミュレーションは現実世界を模した計算が可能となるので、材料プロセスの設計に大いに役立ちます。

なにが必要?

学術的には、3次元データをいかに活用できるかが課題です。観察は科学研究の第一歩と言えますが、観察できたからといって即座に物理現象を理解できるわけではありません。一つ一つのデータに含まれている物理現象の本質を抜き出し理解する作業が必要です。また、3次元データには膨大な情報が内在しているはずですが、パソコンのモニタでデータを眺めても全てを捉えることはできません。例えば通販サイトでショッピングする際、掲載されている画像と実物の印象が一致しないのと同じです。最近ではVR技術が発展して三次元のデジタルデータを人間が直接観られるようになってきていますので、そういった先端技術を利用できれば、高温材料プロセスの発展に繋がると信じています。

研究室公式のYouTubeチャンネルで、他にも様々な動画が見られます。ぜひご覧ください。

Let’s solidify <https://www.youtube.com/channel/UCH-Jusv_i4Q6CL3jHyKg29g>

VIDEO MATERIAL
①アルミニウム合金の凝固過程の高速4Dイメージング結果 ②鋼の凝固過程の透過X線イメージング結果 ③SPring-8(大型放射光研究施設)での実験風景
INTERVIEW
桂産直便
放射光イメージングで、金属材料のありのままの凝固プロセスを理解したい!

2024.3.22

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