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68

溶けにくい高分子の溶解性を調べ、溶けるという現象を解明したい!

RESEARCHER
左から<br>・開発したイミダゾリウム系イオン液体の溶媒<br>・イミダゾリウム系イオン液体にポリヒドロキシメチレンが溶けている状態<br>・ポリヒドロキシメチレンのサンプル

左から
・開発したイミダゾリウム系イオン液体の溶媒
・イミダゾリウム系イオン液体にポリヒドロキシメチレンが溶けている状態
・ポリヒドロキシメチレンのサンプル

ポリヒドロキシメチレンは巨大な糖アルコールである。 水を含むほとんどの汎用溶媒に難溶であるが、これまでに溶ける溶媒を探索する研究がされてきた。現状では高温、強い酸、毒があるなどの非常に扱いにくい溶媒しか見つかっていない。

ポリヒドロキシメチレンは巨大な糖アルコールである。 水を含むほとんどの汎用溶媒に難溶であるが、これまでに溶ける溶媒を探索する研究がされてきた。現状では高温、強い酸、毒があるなどの非常に扱いにくい溶媒しか見つかっていない。

ポリヒドロキシメチレンが溶ける溶媒として、セルロースが溶けるものに着目した。セルロースが溶けない理由として、分子間に強固な水素結合が形成されていることが考えられているが、PHMが溶けない理由にも近いものがあるのではと考えたためである。

ポリヒドロキシメチレンが溶ける溶媒として、セルロースが溶けるものに着目した。セルロースが溶けない理由として、分子間に強固な水素結合が形成されていることが考えられているが、PHMが溶けない理由にも近いものがあるのではと考えたためである。

セルロースが溶ける溶媒の中で、水―尿素―水酸化ナトリウム混合溶媒やN,N-ジメチルアセトアミド―塩化リチウム混合溶媒には溶けなかったが、イミダゾリウム系イオン液体には溶けることを発見し、5種類の溶媒で観察した結果いずれも溶けることを確認した。うち2種類については、小角X線散乱(SAXS)測定によって分子単位で散乱して溶けているということが確認できた。また、イオン液体と有機溶媒を半々混ぜたものでも溶けることを確かめた。

セルロースが溶ける溶媒の中で、水―尿素―水酸化ナトリウム混合溶媒やN,N-ジメチルアセトアミド―塩化リチウム混合溶媒には溶けなかったが、イミダゾリウム系イオン液体には溶けることを発見し、5種類の溶媒で観察した結果いずれも溶けることを確認した。うち2種類については、小角X線散乱(SAXS)測定によって分子単位で散乱して溶けているということが確認できた。また、イオン液体と有機溶媒を半々混ぜたものでも溶けることを確かめた。

加工への応用として、ポリヒドロキシメチレンの濃厚溶液を作った。有機溶媒を混ぜたものはゲル化してしまったが、イオン液体のみを溶媒とする溶液からは繊維や薄膜を得ることに成功した。

加工への応用として、ポリヒドロキシメチレンの濃厚溶液を作った。有機溶媒を混ぜたものはゲル化してしまったが、イオン液体のみを溶媒とする溶液からは繊維や薄膜を得ることに成功した。

小角X線散乱(SAXS)測定の様子

小角X線散乱(SAXS)測定の様子

X線カメラ

X線カメラ

SAXS実験場所(SPring-8, BL40B2)

SAXS実験場所(SPring-8, BL40B2)

左から<br>・開発したイミダゾリウム系イオン液体の溶媒<br>・イミダゾリウム系イオン液体にポリヒドロキシメチレンが溶けている状態<br>・ポリヒドロキシメチレンのサンプル

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・開発したイミダゾリウム系イオン液体の溶媒
・イミダゾリウム系イオン液体にポリヒドロキシメチレンが溶けている状態
・ポリヒドロキシメチレンのサンプル

ポリヒドロキシメチレンは巨大な糖アルコールである。 水を含むほとんどの汎用溶媒に難溶であるが、これまでに溶ける溶媒を探索する研究がされてきた。現状では高温、強い酸、毒があるなどの非常に扱いにくい溶媒しか見つかっていない。

ポリヒドロキシメチレンは巨大な糖アルコールである。 水を含むほとんどの汎用溶媒に難溶であるが、これまでに溶ける溶媒を探索する研究がされてきた。現状では高温、強い酸、毒があるなどの非常に扱いにくい溶媒しか見つかっていない。

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どんなタネ?

ポリヒドロキシメチレン(PHM)の溶解性について研究しています。PHMは巨大な糖アルコールで、骨再生材料としての応用の可能性が注目されていますが、水を含む多くの溶媒に溶けにくいという性質があります。溶けても、高温、強い酸、毒があるなどの非常に扱いにくい溶媒しかありませんでした。

そこで、扱いやすい条件でPHMを溶解できる溶媒を探し、イミダゾリウム系イオン液体で溶けることを発見しました。溶解状態を解析し、分子レベルで溶けていることを確認しました。また、濃厚溶液を作り、溶液からのPHMの薄膜や繊維を得ることに成功し、加工への応用も探求しています。今後は、なぜ溶けるかを解明していきたいです。

なぜ研究を始めた?

溶けるという現象に関心がありました。糖アルコールは、基本的には水に溶けますが、巨大な分子にすると溶解しないことが知られています。この高分子の溶解性の謎を解きたいと思いました。
似たような構造のポリビニールアルコールは水に溶けます。グリセリンなど、ポリヒドロキシメチレンの小さいものも水に溶けます。ではなぜ、この大きなものは溶けないのでしょうか。高分子の溶解性は何で決まるのかを調べ、「溶けている」とはどのような状態かを理解したいと考えています。
このような関心から研究を始めると、骨再生に使えるという研究に行き当たり、応用としての可能性も感じています。

なにを変える?

生体内でも、細胞の中で色々な分子が溶けています。溶けるという現象は、生命の起源に関わるような大事なことなのではないだろうかと考えています。溶ける、溶けないが何で決まってくるのかは、まだ分かっていません。これが解明されることに可能性を感じています。
また、新しい材料を作りたいと考えた時に、溶けるかどうかは重要な性質ですが、作ってみないと溶けるか溶けないかがわからないのが現状です。予測がつけば、開発のスピードに貢献できるのではないかと考えています。

なにが必要?

サイエンスとしての興味から研究を進めていますが、このイミダゾリウム系イオン液体の溶液を作ったところから応用まで広がっていくと良いと考えています。
せっかくできた材料なので、例えば「調製したPHMフィルム上で培養してみたい」「生体に埋め込んで使ってみたい」など、色々な可能性を試していきたいです。そのため、生体材料の研究をされている方に関心を持っていただければ嬉しいです。
また、つくったPHMフィルムの物性を測ったことがないので、どれくらいの力で裂けるのか、中の構造がどうなっているのかなどを調べられると、違う方向の研究が進むと考えており、そのような知見をもった方のご協力もいただきたいです。 

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