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SEED
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光子による量子情報科学で物理限界を追求する。

RESEARCHER
2つの光子のもつれあい状態をつかった世界初の「量子もつれ顕微鏡」によって計測した「Q」の文字。

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2つの光子のもつれあい状態をつかった世界初の「量子もつれ顕微鏡」によって計測した「Q」の文字(c)。実験結果から、原子間力顕微鏡(a)に比べて凹凸の計測が可能で、古典的な顕微鏡(d)に比べてより精細な画像が得られることが分かる。bの図は「Q」の文字の一部の断面。

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光子間の量子もつれ合いを制御する線形光学ネットワーク。

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光子源。

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もつれ合い状態の生成・干渉部。

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どんなタネ?

光子を用いた量子情報科学の研究をしています。光子を一つ一つ発生させて2光子量子干渉という現象を起こし、一方の光子の量子状態でもう一方の光子の量子状態を制御する光量子ゲートを実現しました。これは量子コンピュータの基礎技術となります。また、光量子ゲートを用いて、量子重ね合わせ状態をとることができる「シャッター」を実現、量子物理学において未確認であった理論的な予言を実証することで、量子力学の非局所性の新たな側面を明らかにしました。さらに光子のもつれ合い状態をつかって、古典的な限界を超える干渉計測を実現しました。また、それを顕微鏡に応用することで「量子もつれ顕微鏡」を開発しました。また同時に、光子の状態を量子力学の限界まで正確に読み取る技術も研究しています。

なぜ研究を始めた?

初めは量子コンピュータの基礎となるゲート素子を研究していました。そして光子の制御技術が計測にも役立つのではないかと考え、古典的な限界を破るような量子計測技術にも取り組むようになりました。量子的な計測やセンシングが、量子コンピュータよりも前に我々の身近な応用になるのではないかと考えています。また、応用も重要ですが基礎的な部分が面白いです。例えば「もつれ合い状態で可能になる精度の限界」を考えると、量子的な物理学と古典的な物理学の境界はどこにあるのかという課題に向き合うことになります。

なにを変える?

1つは計測技術が変わります。量子的な物理学と古典的な物理学の境界を知り、古典的な物理学で考えられてきた限界が本当なのか、「物理限界」を追求することは、技術の発展にとって非常に重要だと思います。2つ目は、光子の量子状態制御の先にある概念が見えてくるでしょう。例えば量子シミュレーターなど、他の物理系で見られている、もしくは予言されている量子現象を、制御性のよい光子をつかって実現することができます。全く異なる物理系の間で共通のメカニズムを見出し、実装することで、新しい領域が開けると考えています。

なにが必要?

量子計測やセンシングの分野では、色々な計測の現場に携わっている方々の意見を聞いてみたいです。この研究では「古典的な物理学だとここまでが限界だったけれど量子だとここまでいける」という課題を追求していますが、それが実際どのような現場でどのように役立つかは分かりません。例えば生命科学や物質科学など、様々な分野でどのようなことが必要とされているかを知りたいです。

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INTERVIEW
桂産直便
光子による量子情報科学で物理限界を追求する。

2021.12.14

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