微生物の力で排水や廃棄物を分解し、エネルギーの回収や、肥料への利用をするための研究をしています。例えば排水処理で発生する残渣やゴミ処理場に運ばれる廃棄物と微生物で実験を行い、エネルギー回収の効率向上や分解しにくいものを分解する方法、自動で運転できるシステムの構築を目指しています。
微生物の力による物質変換に興味がありました。また、関西圏ではゴミは燃やして大阪湾にわざわざ運び、埋め立てています。一方で農村では、排水やゴミから回収できるのに窒素ガスから合成する肥料を使っています。このもったいない状況を改善し、運ぶよりもその場で物質変換し、必要なところで必要なものをつくる小規模地域内での循環を実現したいと考えました。
人間の生活では、排水も廃棄物も、捨てるものはどこかに運ばれて「見えない状態」になっています。これを「捨てるものが無い状態」に変えられます。排水・廃棄物の肥料利用とエネルギー回収の効率を上げることで、太陽光由来の資源をベースにした小規模循環が可能になります。
排水・廃棄物処理には地域ごとに現場の課題があるため、自治体の協力は不可欠です。また、装置をつくるためには民間企業の協力も必要です。さらに、他の研究者の知見が役に立ちます。特に排水・廃棄物には色々なものが混ざっており、様々な反応原理が関わるので、例えば細胞・バイオ・化学・機械・農業・行政・法律など、工学に限らず基礎研究の方々と議論をしながら研究を進めたいです。