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データ駆動型モデルで核融合プラズマの挙動を予測したい。

RESEARCHER
核融合反応では、高温・高密度の高いエネルギーを保つことが重要である。しかし、プラズマの中で生じる乱流によって、熱や粒子が外に運び出されていく輸送という現象が起こるため、輸送を抑えて高効率にプラズマを閉じ込め続けることが課題である。電場や磁場に小さなゆらぎがあると、それが乱流になり輸送を引き起こす。この輸送を含めて、様々な現象が複雑に相互作用しているプラズマ全体の挙動を予測することが、性能を評価するために求められる。

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核融合プラズマの予測には、複数の物理現象を模擬するモデルを統合した「統合コード」が必要である。研究では、統合コードを精緻化・高速化することを目指している。 輸送によって運び出される熱や粒子の定量的な予測には、乱流の挙動を知る必要がある。プラズマの乱流は、第一原理に基づいた計算によって予測できるが、それにはスーパーコンピュータで数日から数週間の時間を要する。第一原理に基づきつつ高速なモデルの開発を、機械学習を利用して取り組んでいる。

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プラズマ乱流を記述する第一原理:ジャイロ運動論

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核融合反応は重水素(D)・三重水素(T)のDTプラズマによって効率よく起こるが、多くの実験は軽水素(H)や重水素のプラズマで行われてきたため、水素同位体の違いによる輸送の変化を知ることが、プラズマの予測精度の向上につながる。その予測を第一原理計算に基づいて高速に行えるモデルを機械学習を利用して開発した。乱流の流束を構成する様々な成分を、変数としてニューラルネットワークで扱えるようにモデル化した。水素同位体による乱流輸送への影響も含めた予測を可能にするニューラルネットワークモデルは世界初である。

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輸送と閉じ込め研究

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DeKANISを用いた統合シミュレーション

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プラズマの周辺部では温度や密度の急峻な勾配が形成されるが、この勾配により電磁流体力学(MHD)的な不安定性が生じる。この不安定性が勾配の上限を決めている。また、この不安定性は輸送とは異なる現象である。MHD安定性を解析するコードを模擬するニューラルネットワークモデルを開発し、高速化させることで、MHD安定性と輸送を同時に考慮した計算を実現した。

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実験条件と合う流束と温度の低下量を探索

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理論だけではなく、実験データのみを用いた完全に経験的なモデルの開発もデータ駆動型科学のアプロ―チにより進めている。 プラズマの実験装置Heliotron Jを用いて、コイルに流す電流と加熱や粒子の供給からなる実験条件から、実験結果の代表値である密度とエネルギーの時間変化を予測するニューラルネットワークモデルを構築した。

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開発したモデルにより、短時間でプラズマの挙動を予測できる。これは、多数の実験条件の試行を仮想的に行えるということである。そこで、目標となるプラズマの状態を達成するための最適な実験条件を推定する枠組みを構築した。実験条件の推定には遺伝的アルゴリズムを用いている。実際に実験で得られたプラズマの状態を目標として実験条件を推定したとき、当該実験で使われていた条件と良好な一致が得られることを確認した。

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どんなタネ?

核融合プラズマでは、様々な物理現象が複雑に相互作用しています。研究では、ニューラルネットワークなどのデータ駆動型の手法を使い、その挙動の予測に取り組んでいます。

例えば、既存のモデルである第一原理に基づいて計算すると、スーパーコンピュータを用いても数日から数週間を要します。そこで、この精度を維持しながら大幅に高速化する新しいモデルを開発しました。これにより、核融合反応を高効率に生じさせる重水素・三重水素プラズマの性能予測に重要な水素同位体の違いによる乱流の変化を第一原理に基づいて高速に予測することを世界で初めて可能にしました。同様のモデル開発手法を利用して、電磁流体力学的に不安定なプラズマの挙動を踏まえた性能予測にも成功しています。

さらに、プラズマの実験装置から得られた計測データから経験的にプラズマの挙動を予測するモデルの開発も行いました。このモデルに対して遺伝的アルゴリズムを用い、望ましいプラズマ状態を実現するための実験条件を推定する研究も進めています。

なぜ研究を始めた?

もともとは、地球温暖化問題をエネルギーの面から解決したいという思いから工学部に進学しました。子どもの頃からオランダで生まれた絵本の主人公のミッフィーが大好きだった私は、中学生の頃に地球温暖化について学んだ際に、海抜の低いオランダが沈んでしまうと考え、環境問題に強い関心を持ったことがきっかけです。調べるうちにオランダは高い治水技術を持つことを知り、その不安は割と早々に解消されましたが、一度決めた方向に突き進みました。

大学に入り、研究者として新エネルギーの開発に携わりたいと考え、研究開発の余地が多くある核融合エネルギー分野を志しました。学部の卒業研究では、過去の核融合実験のデータベースを解析し、プラズマの性能を示す「閉じ込め時間」を予測するモデルの開発に取り組みました。データを解析するうちに、その背後に多様な物理現象が隠れていることに気づき、そこに面白さを感じました。そこで、物理現象そのものを理解し、新しい予測モデルを構築したいと考え、現在の研究へと至ったという訳です。

なにを変える?

プラズマの予想モデルの開発に取り組んできましたが、将来的に私が目指しているのは、核融合装置全体を予測できるシミュレーターを実現することです。現在も、簡略化したモデルで核融合装置全体を予測することはできますが、より詳細な物理現象を取り入れることで、装置の性能や発電コストを高い精度で予測できるようになると考えています。例えば、社会のインフラとして、どれだけの燃料を投入すれば、どれだけの発電量が得られ、どれだけの市民に供給できるのかといったことを評価できるようになります。これにより、核融合発電の実用化を促進し、地球温暖化問題の解決に貢献することが期待されます。

なにが必要?

核融合研究をさらに発展させるためには、国際的な協力を一層強化することが重要だと考えています。海外では、核融合装置全体を予測するためのモデルがオープンソース化されているなど、多くの人材や組織を巻き込んだ研究が進んでいますが、日本にこうした動きは乏しいように私には見えます。日本では、個々の研究者が独自にモデルを構築する傾向が強いのですが、どんなに優れた研究者でも、全てのモデルを開発することが難しいのが核融合だと思っています。そして、核融合エネルギー開発は国際的な協力の下で進められているプロジェクトでもあります。積極的に連携協力をしながら進めることで、より高度な予測モデルの構築が可能になると考えています。

VIDEO MATERIAL
①機械学習を利用した高速かつ正確な輸送シミュレーション ②電磁流体力学(MHD)安定性を考慮した輸送シミュレーション ③遺伝的アルゴリズムによる最適な運転条件の探索
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