高精度な気候変動予測に役立てることを目指して、衛星画像をもちいたアルベドの推定方法の改良、開発を行っています。アルベドとは、気候変動モデルにおいても使われる重要な指標であり、太陽光の放射エネルギーに対する地球等の天体の反射率です。アルベドは、太陽の角度や観測する衛星のセンサの角度によって値が変化するため、実際の値に補正する必要がありますが、このために使われる双方向反射率分布関数(BRDF)があります。しかし、BRDFにはさまざまなモデルがあり、砂漠や森林にあわせたものなど、全球で値を得たくても完璧なものがないという状況です。
そこで、BRDFを10通りのモデルで検証するため、鳥取砂丘をフィールドに、推定されるアルベドの値と、直接測定した値との比較を行いました。その結果、モデルによって変化がありそれがアルベドの精度にも影響するということが分かりました。また、日によって異なる結果が得られるなどの難しさもあり、信頼性のある結果を得るための努力を続けています。
リモートセンシングの分野で取り組んでいる研究の意味を深めたかったという思いがきっかけです。
学生の時は、全球の地図を衛星から作成する研究をしていました。その際、機械学習の手法開発に注力しており、アルベドは数値データとして扱っていましたが、特段着目していませんでした。しかし、機械学習のモデルを改良して精度をあげても限界があることを感じ、衛星画像といった扱うデータ自体の理解が必要だと考えました。そうして勉強を進めるうちに、反射率であるアルベドは、センサの角度によって見かけ上の値になることなどを知り、リモートセンシングをつかって研究をしていく限りは、そのようなセンサの特性を理解して、物理量をきちんと取り出したいと、現在のテーマにたどり着きました。
気候変動といった、物理的な過程に基づき組み立てられているモデルと、衛星画像からどのように物理的な意味を取り出せるかというところに興味をもって続けています。
現在、気候変動の予測モデルはいくつも開発されており、それぞれのモデルによって、2、3度程度も結果が異なるといわれています。このくらい違うと、将来の農地の減少、増加ということ一つとっても全く異なる結果になるということです。これらのモデルが、世界各地で政策や意思決定に使われる可能性があることを考えると、アルベドはその中の一つのパラメーターではありますが、出来る限り確実な情報を得て、いかに高精度にマップを推定できるかどうかは重要であり、自分が貢献できることではないかと考えています。
まだこのテーマでの研究ははじめたばかりですが、物理的な過程の理解をより深めることで、モデルの組み立てをもう少し意味づけて構築できるようになり、サイエンスとしても新しい発見があると信じています。
現在、具体的に困っていることでいえば、自分たちで鳥取砂丘の一か所をフィールドに検証していますが、それを地球全体の各地点ではもちろん、日本の中でも行うことは難しいということです。なかなか専門に研究している人が少ないテーマですので、もし、アルベドの推定を研究でつかっている方がいらっしゃったら、ご協力をいただけたらありがたいですし、私たちがご協力できることがあるかもしれません。衛星画像に限らず、アルベドの推定に関わることをされている方とは、ぜひ交流して、知見を交換していけたら嬉しいです。