様々な種類のあるプラスチックごみの処理について、塩素化ダイオキシン類の発生過程を研究しています。日本では、プラスチックごみの多くを燃やすごみや燃料として、焼却処理しています。実験では、塩素を含まないプラスチックに対し塩素源として塩化ナトリウム(いわゆる「塩」)を加えた模擬ごみを燃やすことで、プラスチックの種類別に塩素化ダイオキシン類などの有機塩素化合物の発生量を評価しています。
子ども時代に「ダイオキシン問題」が大きな注目を集めました。また、ごみ処理について意識の高い家庭で育ったことも影響しているかもしれません。ごみの発生源である個人と、それが引き起こす大きな社会的影響に関心をもち、単純に危機を煽るのではなく、まずは科学的な知見を集め、生活に身近な「使い終わってしまったもの」との付き合い方を考えるきっかけにして欲しいという思いで、研究を始めました。
都市はプラスチックの森といえます。メカニズムに基づいたダイオキシン発生の過程を理解し、廃棄物について科学的な知見を収集し、正しい情報や知識を増やしていくことを目標としています。「プラスチック」は現代的でもあり象徴的な課題だと感じます。
塩素化ダイオキシン類などの有機塩素化合物の測定を進めていますが、測定対象を焼却灰といった非生物から曝露対象となる生物までを広く横断する形で研究を進めたいと考えています。また、化学物質の生成や反応プロセスを研究し、他の物質との相互作用について知見を深めていきます。廃棄物処理の研究を進めるためには、物質の理解するための化学や環境・生物に対する影響評価も必要です。