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低磁場fMRIを実現し、脳の神経活動を直接測りたい。

RESEARCHER
低磁場fMRIによる撮影結果。ループコイル内部の輝度値が計測対象の磁場との相互作用により増減している様子が見える。

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低磁場fMRIの装置と計測システム。計測対象のファントム(被写体)の磁場を計測する。

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ファントムという低磁場fMRIで計測する対象物。中に生理食塩水とループコイルが入っていて、ループコイルから発生した磁場を測る。

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スピンロックシーケンス中における磁化(MRの信号源)の動きの模式図。核磁気共鳴現象を用いてMR画像に計測対象の磁場由来のコントラストを与える。手法によって輝度の変化が異なる。

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どんなタネ?

低磁場環境下におけるfMRI(機能的磁気共鳴画像法)を用いた脳の神経活動を測る研究をしています。fMRIはMRIを用いて神経活動を測りますが「どこで」生じたか特定できても、「いつ」生じたのかがぼんやりとしています。これは従来のfMRIが、神経活動から数秒遅延して応答する血行動態を用いて計測しているためです。この問題を解決するために、直接神経活動を測れないかと考え、スピンロックシーケンスに注目しました。しかし高磁場MRIでは血行動態が計測に影響を与えてしまうため、低磁場の環境下での運用に着目しました。現在、機械学習などを用いてヒトの神経磁場を測るためにさらに感度をあげる研究を進めています。

なぜ研究を始めた?

学生の頃から、脳とデバイスをつなぐインターフェースの開発に関心がありました。脳の研究では、脳で思い描いた通りに義手を動かす、コンピュータを動かすといったアプリケーションの研究に注目が集まりますが、それを実現するためには、「脳の活動を正しく計測する」ことが必要だという考えに至りました。その中でも物理学的に面白い原理を用いたMRIによる計測法に関心をもち、研究を始めました。現在の研究も最終的には脳とデバイスをつなぐ研究につなげていきたいです。この研究は介護や診断支援を始め、社会に貢献できる裾野が広いものだと考えています。

なにを変える?

神経磁場を、血行動態を介さずに、低磁場で測れるようになることは大きいと考えます。まず、遅延時間なく神経活動を計測ができるようになれば、時間分解能が改善しfMRIで計測できる神経活動の範囲が広がります。加えて、比較的安価な低磁場MRIで脳機能を測れるようになれれば、発展途上国でもfMRIの積極的な利用が可能になり医療・研究支援につながります。また、先進国においても街のクリニックなど小さな病院でもfMRIの利用が進み、スクリーニング検査としての活用が期待できます。

なにが必要?

ハードウェアは既存のもの、つまり商用MRIを用いて、ソフトウェアの手法を開発してきました。今後はより安価でスペックとしても調和した装置を実現するために、ハードウェアとミドルウェアも一緒に開発したいと考えています。そのためにもハードウェアの技術をもった方との連携が必要です。MRIを扱う企業の方や技術者の方に、こうした研究をさらに知っていただけたら嬉しいです。

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INTERVIEW
桂産直便
低磁場fMRIを実現し、脳の神経活動を直接測りたい。

2022.03.15

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新熊 亮一
芝浦工業大学情報工学科
(元京都大学情報学研究科 准教授)