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放射性廃棄物の特性を理解し、さまざまな環境中での挙動を予測したい!

RESEARCHER
福島第一原子力発電所の事故による燃料デブリ。燃料デブリは、核燃料物質であるウラン(アクチノイド元素)と被覆管成分、構造材やコンクリート成分の複合体となっている。その「素性」を明らかにすることが適切な処分法を検討する上では第一に必要となる。現在はまだ燃料デブリ本体を取り出して分析することが難しいため、実験室で模擬的に再現して調べている。

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核燃料サイクルから生じる高レベル放射性廃棄物。原発の使用済み核燃料は核燃料サイクルで一部は再利用され、残りはガラスに溶解し、ステンレス製の容器(キャニスター)の中で冷やし固められる。このガラス固化体は地層処分が基本となるため、放射性物質の地下環境でのふるまいを理解する必要がある。しかし何十万、何百万年のスケールを実際に追跡することは不可能で、実験データをもとにした予測モデルで安全評価が行われている。

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4価金属イオンの溶液化学(1)。アクチノイドと呼ばれるウラン、ネプツニウム、プルトニウムなどは地下では4価の酸化状態であることが多いと考えられている。これらの溶液中でのふるまいを把握するため、pHや地下水に含まれる無機、有機イオンの影響などを検討している。例えばあるpHでは左下に示す構造の化学種が形成されているとモデルから予想し、実験結果との比較を行っている(右下)。

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4価金属イオンの溶液化学(2)。実験室の還元的な雰囲気下で4価ウランの沈殿物を用意し、水溶液のpHと溶解度の関係を調べた例。こうした核燃料物質の実験を行うことができる施設は国内に数か所しかない。

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4価アクチノイドの錯体形成(モデル)。水溶液中で放射性廃棄物や燃料デブリがどのような挙動を示すか、反応のモデル化を行っている。4価イオンとなるアクチノイドは水酸化物沈殿が溶解反応を支配し、水溶液中では地下水に含まれる炭酸イオンなどと反応し、錯体を形成すると考えられる。

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4価プルトニウムと炭酸イオンの錯形成(実験)。4価プルトニウムの水中での溶けやすさを調べた結果。左のグラフは横軸がpH、右は炭酸イオンの濃度。縦軸はいずれも溶解度(log値)。炭酸イオンと錯形成すると溶けやすくなることなどが分かった。さらに、これらの結果を化学反応式で示し、実験結果を説明するモデルを提案している。

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溶解度を制御する因子として沈殿物にも着目。溶出後のイオン、錯体について理解を進める一方で、沈殿物の固相状態にも着目して実験を行っている。具体的にはジルコニウム水酸化物(Zr(OH)4(am))沈殿を含む試料を調製し、ジルコニウム水酸化固相のバルク構造や表面状態を調べた。

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沈殿物の粒子サイズ効果。ジルコニウムの加水分解種がナノサイズの粒子(一次粒子)を形成し、その集合体が水酸化物沈殿となっている。水に対する溶解度は沈殿物を形成する一次粒子の大きさと相関する。一次粒子の粒径が小さいほど集合体としての表面積が大きくなり、溶解性が高まることを実験によって定量的に明らかにした。環境中でのふるまいを予測するためには、こうした水に対する溶解度の定量的な考察が重要な手がかりとなる。

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どんなタネ?

放射性廃棄物や原発事故で生じた燃料デブリの化学特性を理解し、より安全な処分につなげるため、実験と理論の両面で研究しています。特に注目しているのは核燃料物質であるウランなどのアクチノイド元素です。これらが地下水に移行した際の挙動を理解するため、水への溶解性、水中での沈殿物や錯体の形成などについて調べています。例えば、沈殿物を形成する粒子が小さいほど溶解性が高まることなど明らかにしています。10万年単位と言われる長期的な地層処分、その安全評価に必要な信頼性の高い予測モデルの構築を目指しています。

なぜ研究を始めた?

放射性廃棄物(核のゴミ)への問題意識がありました。福島第一原子力発電所の事故後は、燃料デブリについても本格的に研究を始めました。いずれも放射性物質の環境中でのふるまいを理解することが、まず重要だと考えています。放射性物質の中には、水溶液中で4価の酸化状態をとる金属イオンとして振る舞うものがあり、多様な反応を示します。そこが科学者としては興味深いところです。核燃料物質を扱える実験施設は国内でも数か所しかないため、貴重な実験結果を蓄積し、なるべく多くの知見をもとに、適切な処理法を検討できるようにしていきたいです。

なにを変える?

最終処分場の候補地の検討では、その土地や地下水についての文献調査や実地調査が行われます。基礎研究で得られた知見から放射性物質の環境中でのふるまいを予測できれば、これら調査にも役立つと考えています。また、高レベル放射性廃棄物は、放射性廃液をガラスに溶かし込んで固めますが(ガラス固化体)、燃料デブリでは、その化学的安定性によっては「手を加えない」という選択が最善となる可能性もあります。燃料デブリを外に取り出して何らか手を加えることに伴うリスクと、その作業による安定化の効果を天秤にかけて評価できるようにしたいです。

なにが必要?

実験室レベルで模擬的に作られる燃料デブリの挙動は徐々に明らかになってきましたが、実際の燃料デブリはさまざまな成分が不均一に混在する巨大な集合体です。燃料デブリだけでなく、放射性物質の環境中でのふるまいにおいても、基礎研究とのギャップを埋めていくことが今後の課題となるため、現場との懸け橋になってくれる人の協力が得られたらありがたいです。また、原子力工学の全般において社会との対話が重要となっています。自然科学のアプローチをさらに進める一方で、研究から見えてきたことをどのように情報発信していくのかも考えていきたいです。

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INTERVIEW
桂産直便
放射性廃棄物の特性を理解し、さまざまな環境中での挙動を予測したい!

2022.01.18

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中尾 章人
工学研究科 合成・生物化学専攻