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独自開発した原子間力顕微鏡(AFM)で、液体・固体界面の現象を可視化する。

RESEARCHER
研究では、表面・界面の反応を対象としている。表面・界面は、あらゆる現象の反応場であり、反応が起きているその場で、かつ原子レベルでの解析を実現することが、様々な現象の解明につながる。

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原子間力顕微鏡(AFM)は、原子間に働く相互作用を超高精度なバネによって検出する。バネに圧電体である水晶振動子を用いることで、バネの振動を電気信号として検出する。この振動特性が対象となる試料と測定する針との間に働く力を反映する。

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溶けた金属が固体金属と接すると合金が界面で成長する。ハンダづけや溶融亜鉛めっきなど溶けた金属を使う工業プロセスは多い。溶けた金属の中で、固体との界面で起こる反応を測定することに成功した。これは世界で唯一の技術である。今はほぼ室温での分析にとどまっているが温度を上げるAFMを現在開発中である。これができればガリウム以外の金属 (インジウムやスズなど) にも対象が広がる。写真は溶けたガリウム(Ga)に針を刺して実験する様子。タングステンの針で溶けたガリウム (Ga)の中で原子が見えるAFMを実現できた。

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AFMの中には液体の中で動くものもあり、そのほとんどが、尖った針のついたマイクロカンチレバーを液体の中で振動させて、それに光を当てて共振特性を検出する。しかし、溶けた金属は光が通らないため測定できない。そこで、長い針を取り付けた水晶振動子をセンサにして、針の先端だけを溶けた金属の中に入れることを思いついた。この針には、測定対象である溶けた金属に対して、測定中に合金化しない金属を使う必要がある。タングステン(W)とガリウム(Ga)は合金化しないことが知られていることから、タングステンの針を採用した。

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AFMでは針と試料との間に働く力を計測する。タングステン(W)は錆びるが錆びない金属を針にできれば力が変わるかもしれない。錆びない金属としては金 (Au)が知られているが、ガリウムと素早く合金化してしまうため針として使えない。材料工学的知見を積み重ねた結果、白金 (Pt) とイリジウム (Ir) の合金を針として採用した。想像どおりタングステンの針とは違った現象が確認されつつある。様々な針と材料で計測を実現できれば、その測定原理をより深く理解でき、それを元に装置を改善ができるため多角的に研究を進めている。

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溶融金属中で測定した原子分解能AFM像。溶けたガリウム(Ga)と金(Au)を接触させた界面において、金とガリウムの合金化が進み結晶が成長するところを見られた。溶けた金属の中では合金化など様々な現象が起きるが、これまで見られたものは冷えて固まった後の材料を割るなどして、反応が起きた後の様子であった。このAFMによって反応している途中のプロセスを原子レベルで初めて見ることに成功した。また、成長中の固体合金の原子だけでなく、液体金属の密度分布も見ることができる。これらの測定は、現象の解明へとつながるだろう。

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リチウムイオン電池では、独自に開発した電気化学AFMにより、電極と電解液の界面での反応を測定した。リチウム(Li)イオンの出入りによる電極構造の変化を、原子レベル、かつその場で観察することに成功した。さらに、液体分子・イオンの密度分布を可視化できることも大きな特徴である。

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リチウムイオン電池では、電子が電解液を通して行ったり来たりする。リチウムイオンが入ったあとの電極を見ることはできるが、その電極を外で測定するのは、大気を通した途端に空気や水と反応が起きるため困難である。そのため、液体中、かつ水や空気が入らない環境で観察することにより信頼性の高い結果が得られる。

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真空電気化学AFMの開発。電気化学反応中をAFMで分析するための電気化学AFMを開発した。多くの市販のAFMではセンサではなくサンプルを動かすがセンサを動かすAFMを開発した。これにより複雑な構成の電気化学セルをAFMに簡単に組み込むことができた。リチウムイオン電池をはじめ水を使わない電気化学系では水が混ざると正しく計測できない。そして大気中の水分子がすぐに混ざるという問題がある。今回、揮発性の極めて低いイオン液体という液体を電解液に使い、AFM装置を真空環境に設置することで水の影響のない測定を実現した。

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原子分解能電気化学AFM測定。開発した電気化学AFMでリチウムイオン電池電極のひとつのチタン酸リチウム (LTO) を分析した。リチウムイオンが電極に入ると、表面の原子配列が変わることが可視化された。多くの電極では、リチウムイオンが電極に入ると電極が“膨らむ”。しかし、この電極では表面のナノ構造すらほとんど変化せず、表面の原子配列が変化していた。

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摩擦を減らすことは省エネルギーにおいて極めて重要である。摩擦を減らすには潤滑油を使う。潤滑をナノスケールで理解するためのAFM開発に向けて、現在、摩擦計測技術と高粘度液体中分析技術をそれぞれ確立することができた。今後この二つを合体させて研究を進めていく計画である。

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潤滑油にはサラサラ (低粘度) のものだけでなく、ドロドロ (高粘度) のものもある。従来のAFMでは高粘度液体中での分析が困難だった。一方、水晶振動子センサを使ったAFMは、溶融金属のような不透明な液体だけでなく、高粘度液体中でも分析できるが、摩擦を計測できなかった。 そこで、水晶振動子センサで摩擦を計測する新技術、つまり針を横に振動させてそれを高精度に検出する技術を開発した。このように、AFM性能向上だけでなく新機能開発にも取り組んでいる。

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開発した原子間力顕微鏡(AFM)のセンサ

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どんなタネ?

表面・界面が関わる現象について、特に液体と固体との界面に注目し、原子レベルで解析するための原子間力顕微鏡(AFM) の開発に取り組んでいます。このAFMの特徴は、水晶振動子をフォースセンサとすることで不透明な液体に適用できること、また従来のAFMよりも高粘度の液体を得意とするところです。研究対象として、溶けた金属、リチウムイオン電池などの電気化学界面、潤滑油の3つを対象としています。このAFMにより、溶けた金属と個体の金属の界面で合金結晶が成長する反応を、原子分解能で初めて可視化することに成功しました。また、独自に開発した電気化学AFMにより、リチウムイオン電池の電極構造の変化を原子レベルで観察しました。さらに、高粘度液体を分析可能であるという特徴を活かし、高粘度潤滑油中での測定を実現し、油と固体の間の摩擦計測技術も開発しました。

なぜ研究を始めた?

AFMは走査プローブ顕微鏡 (SPM)とよばれる顕微鏡の一つですが、高校生の化学の授業でSPMを初めて知り、原子を並べて文字を書くという研究に衝撃を受けました。その後、大学でSPMの研究室に所属し、教員になってからは装置の開発に取り組んでいます。科学の世界はまず何が起きているかを知ることから始まります。未だ誰も見たことのない世界を探求することが楽しく、大学での研究に意義を感じています。現在対象としている電解液・金属・摩擦といった研究テーマのそれぞれに出会いがありました。例えば電気化学界面のAFM研究は、研究室の准教授の先生の専門に触れ、イオン液体の不思議な特徴に興味をもったことがきっかけでした。溶融金属の研究についても、金属を研究対象とする先生方が多い材料工学専攻であったからこそ取り組むことができたと考えています。このように、新しい現象を観察し、その発見が材料工学へ貢献することを目指しながら研究を進めています。

なにを変える?

「見る」ことは自然科学の入り口であり、そこから全てが始まります。電極と電解液の界面で起こる反応の観察によって電池や電気化学分野の理解が深まれば、新しい電池の開発につながる可能性があります。溶けた金属の中を観察することで、溶けた金属原子のふるまいやその中での結晶成長の様子なども見えるようになってきました。それだけでなく、新たな測定技術開発によりこれまで見えなかった世界が見えることで、想定していなかった現象が発見され、そこから新しい研究にどんどんとつながっています。したがって、どこに役立つかを考えすぎるのではなく、出口を定めずに、これまで見られなかった現象を見えるようにすることで、材料科学をはじめ、科学技術の発展に貢献していきたいと考えます。

なにが必要?

研究を進める上で「どこに役立つのか」を常に気にしてはいますが、自分で考えられる範囲は限られています。だからこそ、「こんなことができる」と発信し、特に異分野の研究をされている方々に知っていただきたいと考えています。本格的にこの技術が使えるようになったのは最近であり、様々な分野で研究をする方々に活用していただきたいです。今のところ、開発したAFMは生体やバイオ分野よりも材料分野に適していると考えていますが、われわれの想定しない使い道があることを期待しています。このAFMが得意とするのは、不透明な液体と高粘度の液体です。不透明な液体として、溶融金属に取り組んでいますが、コロイド溶液とかも面白いかもと考えています。「こんな液体あるけど見える?」と気軽にお声掛けいただけると嬉しいです。

VIDEO MATERIAL
開発した原子間力顕微鏡(AFM)によって測定した溶解した金属内部の様子。 反応は金(Au)-ガリウム(Ga)合金化プロセス。はじめ球状の小さかった結晶が時間経過とともに成長し、大きくなるにつれて角張った形状に変化する。
INTERVIEW
桂産直便
独自開発した原子間力顕微鏡(AFM)で、液体・固体界面の現象を可視化する。

2025.4.1

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竹内 悠
工学研究科 附属流域圏総合環境質研究センター