高温や中性子照射、酸化といった過酷な環境に耐える材料の開発を目指して研究をしています。優れた耐熱性や耐食性をもつSiCセラミックスに着目し、その欠点である脆さを克服する三つの新材料の開発に成功しました。一つ目は、SiC繊維で強化したSiC基複合材料です。SiCセラミックスの粒子分散材をつくり、従来よりも強度と信頼性を向上させました。二つ目は、材料内部の添加物の拡散と酸化反応によって耐高温・水蒸気被膜をつくる新技術を開発しました。三つ目は、金属ワイヤーとSiC繊維のハイブリッド複合材料で、SiCの高温特性、耐食性と金属の高熱伝導、構造的信頼性を備える新たな概念の材料です。これらはいずれも、航空機や核融合炉への応用が期待されています。
所属していた研究室の主なテーマは核融合に関連する材料であり、金属を中心としていました。SiCセラミックスの繊維強化複合材料の研究はあまり例がなく、研究室内でも私が一番はじめに取り組みました。この材料は複合化することで新たな機能を得て、飛行機をはじめとして様々な応用の可能性があります。そうした観点から、変わった材料で面白いと感じたのがきっかけで研究をはじめました。
私たちが取り組んでいるのは、極限環境に耐えうる材料の開発です。そうした材料ができることで実現するものがあるのではないでしょうか。
例えば、核融合です。長年研究されていますが、まだ実用化されていません。その理由として大きいのは、材料であると考えています。また、飛行機でも、宇宙に飛び出して帰ってくるような機体が実現できるかもしれません。色々なところで革新的な材料があれば実現できるものがあるでしょう。
既存のものの性能をよくするのではなく、今までボトルネックになっているものを打ち破っていくことを目指すのが、私たちの研究です。ここは大学です。大胆に、今までにないものを生み出せるような研究をしたいと思っています。
近年、共同研究を多く行っていますが、時間が足りないというのが本音です。事務仕事が多く、研究や考えることに使える時間を増やしたいと思っています。
この研究には、他にも応用の可能性が広がっていると思いますし、大学内外に連携できるような方々がいらっしゃるのも知っています。さらに進めていくためには、そのようなマッチングを行い、深く関与し、プロジェクトを実現に向けて推進してくださるような役割の方がいれば、さらに多くのことが実現できるでしょう。現在の大学にもそういう機能がありますが、さらに広がることを期待しています。