桂キャンパス
2020年10月に日本政府が表明した2050年カーボンニュートラル宣言や、2021年10月に発表された第6次エネルギー基本計画を受け、国内でも更なる再生可能エネルギーの導入と、その効率的な利活用がより一層求められるようになりました。 太陽光・風力などの再生可能エネルギー設備は変動性電源と呼ばれており、火力発電のように電力供給量を制御することができません。従って、電力を供給する側ではなく、使用する側(以下、需要側)にも、この供給量の変動に追従することが求められます。需要側で上記のような調整力を作り出す概念は、デマンドレスポンス(以下、DR)と呼ばれます。
今回桂キャンパスでは、再生可能エネルギーを「使う側」である電力消費者の行動変容に着目した実証を行います。
家庭・業務分門における消費電力の20%以上を占める空調設備にフォーカスし、エアコンの制御によって効果的なDRの実施が可能であるかを検証します。桂キャンパス内のエアコンが設置されている居室にタブレット端末とスマートリモコンを設置し、電力逼迫時間を通知するシグナルの表示、エアコンの自動・手動を組み合わせた制御によって、電力消費行動の変容を促進します。制御の結果得られる電力消費の変化・量を電力量計により計測し、効果を定量しています。
本実証を通じて、キャンパス内での合理的な空調制御ロジックの検討と、DR対応型空調が有するべき「制御状態表示」の効果の定量が可能となります。今後は空調メーカー等と協力し、DRの効果を最大化しつつ、継続的にユーザーの協力が得られる空調機の開発につなげることで、国内の再エネ導入促進に寄与できると考えています。