熱マネジメントによる省エネルギー技術の確率を目指しています。現在、断熱と放熱には、それぞれに適した材料が使われていますが、同じ材料で断熱/放熱を動的に変更できるデバイス、いわば“熱のトランジスタ”を作れないかと考えています。
新しい金属材料のマキシンを用いて、熱伝導率の主な要因である電子・正孔をすることで、熱伝導率を電気的に制御できる薄膜を開発しました。また、この開発の過程でそもそも熱を計測する必要性が生じたことをきっかけに、精密な熱計測技術の開発にも取り組んでいます。周波数領域サーモリフレクタンス装置を開発し、ナノスケールの厚さの薄膜の3次元による熱伝導率の計測をすることに成功。主に半導体分野での産学連携による応用を進めています。
天然資源が限られる日本では、エネルギーをどのように使っていくのかは最大の課題の一つです。熱はエネルギーの最終形態であり、熱エネルギーの有効利用はとても重要です。
大学時代から熱に関する研究をして、民間企業で半導体開発に携わった経験もあります。熱は古い分野ですが、熱工学・電子工学を専門とする自分だからこそできる、熱計測と熱マネジメントによって、新しいことに挑戦したいと考えています。
私たちの強みは、非接触・接触、小さなスケールから大きなスケールまで、世の中に現存するほぼすべての熱計測・AI熱解析手法を有していることです。近くて便利な熱のコンビニエンスストアのような存在になりたいと考えています。
自分が生きている間に、何らかの技術をつくり、社会実装して、役立てたいと考えています。
技術は使われてこそ活きてくるものです。誰かの役にたってほしい、そして、社会のニーズに合ったものを開発したいと思います。
そういう想いをもちながら発想した「熱トランジスタ」ですが、あまり夢物語ばかりを目指す訳にもいきませんので、その実現の手前で役立つような技術として、熱計測技術の開発や金属材料マキシンを使った熱伝導率の制御などに取り組んでいます。
現実的にどこまで実現できるか分からなくても、大きな目標をもちながら、その過程で、自分ができること(熱計測やナノ材料を用いたデバイス開発など)によって社会に技術を届けていきます。
「人」が必要です。一緒に志を一つにして、頑張ってくれる仲間は多ければ多いほど嬉しいです。私たちの研究グループのメンバー、博士課程でも、学生でも、また企業などの外部の方も、このプロジェクトを進める中では何よりも「人が大切」と痛感し、感謝しています。一緒に研究を進められる人にもっと集まってもらえることで、実現できる可能性も高まります。そのためにも、自分自身が人に集まってもらえるような人間でなくてはいけないと思っています。年齢や立場に関係なく謙虚に接することを心掛け、日々取り組んでいます。